プロ野球選手会は「旧態依然とした組織」? ロッテ・佐々木朗希投手の退会にみる若手選手たちの実像
プロ野球選手会は「旧態依然とした組織」? ロッテ・佐々木朗希投手の退会にみる若手選手たちの実像
転載元: https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1706683488/
https://www.tokyo-np.co.jp/article/306286
2024年1月31日 12時00分
今オフの米大リーグ挑戦要望が報じられ、26日まで契約更改しなかったロッテの佐々木朗希投手(22)。その渦中で、佐々木投手が日本プロ野球選手会を退会していたことが判明し、波紋を広げている。かつて球界再編騒動などで存在感を示した選手会。メジャー志向の若い選手にとって、もはや存在意義は薄いのか。(宮畑譲)
◆「必要性を感じないのかも」
「先輩が勝ち取ってきた権利、制度を今の選手は当たり前に使っている。それで不都合がなければ選手会の必要性を感じないのかもしれない。こちらからもケアしなくてはいけない」。日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「こちら特報部」の取材にこう話した。
佐々木投手と言えば、高校時代から160キロの剛球を投げ「令和の怪物」と呼ばれる。入団4年目までの通算勝利数は19勝だが、2022年には史上最年少での完全試合を達成するなど能力は折り紙付きで、将来は大リーグでの活躍も期待される。
ただ今オフは、佐々木投手側と球団の交渉が長引き、契約更改がキャンプ目前に迫った26日までずれ込んだ。ポスティングによる今オフのメジャー移籍を球団に要望したとの一部報道などで注目が集まる中、昨シーズン前には選手会を退会していたことも判明した。
森氏は「影響力がある選手が抜ければ、経営側との交渉力が弱まることも考えられる。制度など選手が団結しないと変えられないものもある。昔のような言いなりに戻る可能性もなくはない」と危惧する
◆FA制度は選手会の主張で創設
プロ野球選手会は、選手の地位向上を目的に設立され、1985年に労働組合の認定を受けた。当時は球団側と比べ選手の立場が弱く、社会保障も不十分だったことなどが背景にある。外国人や一部の選手を除いて、12球団のほぼ全選手が入会、一般社団法人として野球の普及活動も行っている。
他球団や海外の球団と移籍交渉ができるフリーエージェント(FA)制度や代理人の導入など、選手会の主張でできた制度は少なくない。その中で、ひときわ選手会が存在感を示したのが、2004年の球界再編騒動。球団合併に端を発した1リーグ化の動きにストライキを行って阻止し、12球団の存続につながった。
ただ、元プロ野球選手で桜美林大の小林至教授(スポーツマネジメント)は「自分は現役時代にはっきりとしたメリットを感じにくかった。選手会は権利擁護が主な活動と言えるが、多くの権利は既に定められている。若い選手にとっては、旧態依然とした組織に映り、会費を払ってまで入る意味を感じないのかもしれない」と推測する。
◆山本由伸投手も退会していた
一方、「こういう風潮が広がってほしくない」と話すのは、プロ野球に詳しいスポーツジャーナリストの鷲田康氏。「入会は強制ではない。退会自体は肯定も否定もできない」としつつ、「選手会は球団側の横暴を止める『抑止装置』として機能してきた。大型契約を結ぶようなトップ選手にメリットはあまりないが、不当な契約解除の相談など立場の弱い選手にメリットはある」と指摘する。
実は佐々木投手の他に、今季から大リーグ・ドジャースに移籍した前オリックスの山本由伸投手も昨季以前に退会している。山本投手も日本でタイトルを総なめにしたトップ選手。鷲田氏はこうした動きが、今の日本社会を映しているように感じ、こう憂う。
「自分がプロ野球選手として稼げるのはなぜか。社会でどういう役割があると考えるのか。人としての問題だ。昔の選手は自分も大事だが、球界全体のために動くイメージがあった。今の自分さえよければいい、ではなく権利や制度には勝ち取った歴史があることを知るべきだ」